原口證さんという方が10万桁もの円周率の暗唱に成功とのニュース。
日本語には語呂合わせというものがあるので、一見無意味な数字の並びを暗唱するのに大きな助けになる。円周率の語呂合わせとしては次のものやこれに類似したものがおそらく最もよく知られていよう。
産医師異国に向かう 3.14159265 産後厄無く 358979 産婦御社(みやしろ)に 3238462 虫さんさん闇に鳴く 643383279
しかし英語では日本語のようにはいかない。ではどうするのかというと、単語の文字数を数字に当てはめるのだそうだ。多数作られているが、例えばこういうものがある。
How I want a drink, alcoholic of course, after the heavy lectures involving quantum mechanics!
1単語1数字というのも効率が悪そうだが、それぞれの単語から数字を出すのも大変そうだ。それに対して日本語は有り難い。尤も、同じ数字に対する候補が多いので考え出しやすいという一面はありそうだから、悪いことばかりではない。
英語での語呂合わせ的な記憶法の中で一般的なのは、何かの並びを憶えるためにそれぞれの頭文字が同じ単語で文を作るものらしい。例えば、太陽系の惑星の場合は
My Very Educated Mother Just Showed Us Nine Planets
などがあるそうだ(惑星の英語名は水星から順に、Mercury, Venus, Earth, Mars, Jupiter, Saturn, Uranus, Neptune, Pluto — Plutoは最近格下げされたが)。
WikipediaのEnglish mnemonicsの項では他にも色々なものが紹介されていて面白い。計算機関係ではOSI参照モデル(Physical layer, Data link layer, Network layer, Transport layer, Session layer, Presentation layer, Application layer)の憶え方というのもある。一例を挙げると
Please Do Not Tell Sales People Anything
または上位層から逆順に
All People Say They Never Download Porn
もう傑作である。
このページと、同じくWikipediaの日本語の語呂合わせの項を比較すると違いが際立つ。英語では様々な対象に対して憶え方が作られているのに対し、日本語では数字の語呂合わせには熱心だが、それ以外の対象にはあまり積極的に行われないように思える。その理由をあれこれ考えてみると面白いが、一つには、憶え方を工夫する必要などなさそうなPCMCIAについてまで作られているのを見ると、日本語の駄洒落に似た言葉遊びを楽しむ面も大きいのかも知れない。